大きな欅の木陰から、日向の坂に憧れて ── デビューカウントダウンライブの記憶
「デビューカウントダウンライブ」なのだから、そこに出演するグループはまだ公式に"デビュー"していない。当たり前のことながら。
だけどそのライブに行く人たちは、およそデビュー前のアイドルに対するそれと同等ではない期待を胸に秘めながら、彼女らを全力で応援しに行く。
きっとそれに全力で応えてくれるという確信をもって。
彼女らの初のワンマンライブはおよそ2年前。2017年3月21日・22日のZepp Tokyo。僕はその場にはいなかった。チケットに応募すらしていなかった。
当時ライブに行った人たちは、どういう期待を胸に「けやき坂46」のチケットを取ったのだろう?その人たちは果たして今日の横浜アリーナに来てくれていただろうか?
願わくば、その人たちにもチケットが行き渡っていてほしい。
歴史と歴史が紡がれる瞬間を、目の当たりにしてほしい。
2018年3月5日。場所は横浜アリーナ。
それは、2年10ヶ月もの間シングルデビューを待ち焦がれたグループだけが創り上げられる、他の誰にも真似できない、唯一無二かつ最初で最後のドキュメンタリーライブでした。
日向坂46『デビューカウントダウンライブ!!』
VTR①
公演は、長濱ねるが出演する「ひらがなけやき追加メンバー募集」のCM、そして1期生結成時の記者会見の映像で始まりました。そのナレーションは、Re:Mindでおなじみの宮川一朗太さんというのがこれまた粋なキャスティングです。
『全てはここから始まった』
Overture
欅坂46のOvertureを号砲にスタート。スクリーンにはステージ上に立ってポーズを決めるメンバーの姿と2年半ぐらい前の初期ひらがなけやきの宣材写真が並べて映し出されていて、ここでもうすでに僕は軽い嗚咽で声が出なくなります。
M1.ひらがなけやき
1期生の登場。ひらがなけやきの原点。全てはここから始まった。この曲でも、今踊っている映像と、今まで披露してきたあらゆる「ひらがなけやき」を踊る映像が並列してスクリーンに映し出されていて、現在と過去の対比、ひらがなけやきの成長を感じさせる非常にニクイ演出となっていました。そして溜めてた涙が早くもこぼれ落ちてきました。そのペースで大丈夫か。
MC①
「私たち、ひらがなけやき坂46です!」というおなじみの挨拶。「突然の改名だったので、まだひらがなけやきとしてちゃんと別れの挨拶をしていなかったので、今日はひらがなけやきとして最後のライブをして、ちゃんとご挨拶してお別れしたい」「スタッフさんのご厚意でこういう場を設けてくださった」と話すのはキャプテン佐々木久美。日向坂46のライブのつもりで来たが、今日はひらがなけやきのラストライブでもあるのだと気付かされました。
そして、誰もが魂を揺さぶられるあのイントロが鳴り響きます。
M2.誰よりも高く跳べ!
2曲目で早くもキラーチューンの登場。イントロ恒例のオリジナルダンスはチアガールさながらのラインダンス。この曲で何度血沸き肉踊ってきたことか。
間奏のソロダンスの振付は有明オリジナル。特筆すべきは、次々とスポットライトを浴びるメンバーがスクリーンに映し出される中で、影山優佳と長濱ねるのソロダンスの映像も挿入されていたこと。そこで完全に涙腺が決壊しました。
ひらがなけやきの歴史を語る上で欠かせないメンバーを、欠かすことなくこの曲に出演させてくれたその演出に率直に感動しました。
VTR②
着実に人気を獲得する漢字欅と、後塵を拝すひらがなけやきの苦悩。そんな時にやっと巡ってきたチャンス。Zepp Tokyoワンマンライブ。そして全国ツアー決定。公演前の円陣で「支え合おうね」と不安げに号泣しながらメンバーに語りかける久美キャプテンの姿は、今となってはまるで別人のようです。
M3.僕たちは付き合っている
メンバーの振付や歌がスクリーンのCGとリンクする演出はひらがなくりすますのときと同様でした。過去曲を時系列的に歌っているということをこの曲で確信します。
MC②
「こうやってみるといろんな振付があったな~って感動します」とうれしそうに話す潮紗理菜。「TAKAHIRO先生が振付にいろんな意味を込めてくださるんです」と『ひらがなけやき』の冒頭の振付にまつわるエピソードを加藤史帆(かとし)が話してくれました。『メンバーがひらがなになる前の自分を表しているんです』『眞緒ちゃんはどんなの?』『私はヤンキーみたいなの!だら~んって感じ』と盛り上がります。
M4.永遠の白線
ステージ上の花道を加藤史帆先頭に渡っていきます。アリーナ後方席歓喜。花道の端から端まで一直線に並ぶところで高本彩花(おたけ)が微妙に立ち位置がおかしくて、齊藤京子(きょんこ)の近距離で踊っていました。僕はラスサビで噛みしめるように「ひ」「ら」「が」「な」の4文字をドでかく書いてやりました。
VTR③
初の単独主演ドラマ「Re:Mind」も決定し、徐々に活動の場を広げていた中で、突如訪れた"長濱ねる兼任解除"。喪失感に苛まれるメンバー。井口眞緒ブログの「ひらがなけやきを作ってくれてありがとう」がいつ見ても涙を誘います。悲しみを乗り越えて、Zepp Sapporoで再スタートを期すひらがなけやき。
M5.それでも歩いてる
メンバーひとりひとりの生の歌声がはっきりと聞こえてきてよかったです。齊藤京子の歌声はやはり流石。個人的には東村芽依の歌声が好きだったりします。
VTR④
欅坂46アニバーサリーライブ2017でのひらがなけやき追加メンバー募集サプライズ発表を受けて複雑な反応の1期生。2期生加入と記者会見。全国ツアー最終公演での2期生お披露目まで。
ダンストラック
VTR後、ダンストラックにて2期生がついに登場。ひらがな武道館でも披露したオリジナルのソロダンス振付を再現してくれました。
申し訳ないんですがイントロ聞いても「なんだ…?」となるほどには乃木坂には疎かったです。そしてこの曲がきっかけで周囲の乃木坂オタクが完全に炙り出されました。いやいやこんなにいたのか。なにその振り。コール完璧じゃん。ナカダカナシカ?聞いたことある。カワタヒナシカ?統一せんかい。それにしてもコール完璧じゃん。もしかして乃木坂からファンめちゃめちゃ流れてる…!?!?
M7.イマニミテイロ
この曲を武道館で初披露したのがほんの1年1ヶ月前のことです。ひらがなくりすますで披露がなかったので、しばらくないだろうなと思っていましたが、このライブの構成ならやらなければいけない、ひらがなけやきの歴史の節目にある大切な1曲。今日も今日とて、ラストの佐々木美玲(みーぱん)のとびっきりの笑顔は素敵です。
ちなみに、この日のみーぱんはウェーブがかった髪型も相まって、爆発的にかわいかったです。
VTR⑤
武道館3days最終日でのサプライズ。単独アルバム発売。ここからひらがなけやきの大躍進が加速します。走り出す瞬間アー写の撮影オフショットは貴重な映像でした。
M8.ひらがなで恋したい
気付いたらこっそりがながなポーズをしている自分。「俺はいつまで経ってもひらがなで恋したい──」そういう願いを込めてラスサビ直前、これまた宙にドでかく「ひ」を刻み込んでやりました。
M9.半分の記憶
毎度同じことを言っていますが、やっぱり小坂菜緒の表情がすごい、すごすぎる。何故あんなに人の心を引きこむんだろう。曲の最後の最後で映し出された彼女の冷たくも力強い瞳、その場にいて不覚にもゾクッとしました。
M10.期待していない自分
ラストで花道の端から端まで全速力で往復し、ジャストのタイミングで戻ってくるみーぱんスゴイと思いました。最後は無意識で僕も「ヒ」を天高く掲げていました。
M11.ハッピーオーラ
「この曲がひらがなけやきとして最後の曲となります!皆さんのおかげで私たちもハッピーになれます!」とイントロで話すのはセンターかとし。"ひらがなけやきとして最後の曲"という衝撃の事実を吸収するのに5分かかりました。
僕はアリーナ2F最後方の座席だったのでよく見えなかったんですが、客席目前の通路で四方八方にぶりっこばらまいてる芽実ちゃんがいて心底うらやましいと思いました。あの近くにいたら間違いなく失神じゃ済まない。
サビでは空色の紙テープを放出。この曲のラスサビで3期生上村ひなのがステージ最上段に登場。衣装は走り出す瞬間衣装の空色バージョン(遠目だとグレーに見えました)。1人だけ異なる衣装で合流する姿はまさに長濱ねるそのものといったら大袈裟でしょうか。
3期生を交えたひらがなけやきで『ハッピーオーラ』を歌いあげ、早くもライブはエンディングの様相。「以上、私たち、ひらがなけやき坂46でした!」この言葉を聞くことが正真正銘の最後となるということをその場では気付くことができず、感慨に更ける間もなく、次のVTRがはじまりました。
VTR⑥
建国記念日に放送されたSHOWROOMの映像。運営からのお知らせムービーを不安そうなまなざしで見る彼女たち。そして突如伝えられた「改名」のサプライズ。驚き叫ぶメンバーの姿。そしてメンバーが改名に対して思いつく限りの感情をインタビューで語ってくれます。
『一本の欅から、青空が生まれる』
次なる扉を開いた、ひらがなけやきの新しい名前は『日向坂46』──。
歴史と歴史が紡がれる瞬間でした。
(Photo by 上山陽介氏)
Overture (日向坂46)
一瞬にして空色のペンライトに染まる会場。再び上がるボルテージ。終わったと思ったら始まっていた。こんなライブの構成があるんだと衝撃を受けました。新しい序曲に大いに湧き上がります。「ヒナタザカァ…フォーティーシックス…」といった感じのコーラスが聞こえてきました。
スクリーンが横に分かれ、その向こうに大きな「日向坂46」の電飾。そして現れた新衣装のメンバー。生まれ変わった姿で、颯爽と飛び出します。
「聞いてください、日向坂46のデビュー曲!『キュン』!!」
M12.キュン (新曲)
おひさまどものキュンキュンコールも完璧で(キュンキュン!)、初解禁の曲にも関わらず大いに盛り上がりました(キュンキュン!)。SHOWROOMでのコール説明を見たときは「おじさんが…これを…!?」と動揺しましたが(フワフワフワフワ)、やってみるとおじさんのコールのほうが味わい深くて(?)いい感じになると思います(ポカポカキュン!)。
サビ前の菜緒ちゃんの「かわいい」とかとしの「好きだよ」はウィスパーではありながらみんなしっかり黙ったおかげでめちゃくちゃハッキリ聞こえました。これコール指南してくれなかったらきっとおひさま勢の「か"わ"い"い"い"い"い"」「す"き"だ"よ"お"お"お"お"お"お"お"お"」で埋め尽くされてたと思うので、本当によかったです(ヒナタザカ!!)。
MC③
「私たち、日向坂46です!」
新しい名前で新しい挨拶。感慨深いものがあります。空色に染まった会場と、完璧なキュンキュンコールに感動するメンバー。コール動画みっちり見てペンライト買った甲斐があります。
「新曲どんどんやっていきたいと思いますけど、皆さんついてきてくれますかー!?」
ここからは記憶がよくわからなくなっていきます。
M13.ときめき草 (新曲)
M14.耳に落ちる涙 (新曲)
M15.沈黙が愛なら (新曲)
M16.Footsteps (新曲)
「ときめき草」は予想よりも軽快な感じでいい曲でした。サビがちょっとだけ「ライオン」(May'n/中島愛)っぽいかも?「ときめき草は 好きになり草」という歌詞がめちゃくちゃ頭に残っています。行進するメンバーの中でひなのちゃんが立ち止まって苦悩するような振付もありました。
「耳に落ちる涙」は加藤史帆センター。歌詞のシチュエーションが「キミガイナイ」っぽいです。夏の曲ということで、会場に花火が上がるAR映像がスクリーンに映し出されました。
「沈黙が愛なら」は小坂菜緒センター。サビよりもサビ以外のメロディーがけっこう好きでした。
「Footsteps」はついに高本彩花センター。サビのメロディーがなかなか好きだった記憶があります。
MC④
モデルファイブが並んだMCでは、菜緒ちゃんがひとりずつモデルの専属先を紹介してくれました。「実際にこんな感じで私たちも聞いたよね」「再現してくれたんだね」とうきうき。
「この曲ではですね、高本彩花がはじめてセンターを務めるんですよ」とかとしが説明。「私にできるわけないと思った」と自分がセンターだと聞かされた当時の心境を吐露するおたけ。「でも今までセンターやってきた人たちもこんな感じだったんだろうなと思って、がんばろうと思った」頑張れおたけ、JJは君を全力でサポートするぜ。
M17.君に話しておきたいこと
M18.抱きしめてやる
「抱きしめてやる」は最初繭のようにメンバーがひとかたまりになった状態で始まりました。荘厳なメロディーからメタル調のビートに切り替わったとき、ひとかたまりのメンバーが少しずつ解き放たれていきます。そしてサビで腕を抱いて力強く体を振る振付は今までのひらがなけやきにはなかった硬派な印象。
M19.JOYFUL LOVE
ひらがなくりすます初日に参戦したときは虹色ペンライトチャレンジに失敗しましたが、今回こそ絶対虹色の景色を見てやるぞと意気込んでしっかり予習済でした。すると同じように予習してきたおひさまガチ勢が多かったのでしょう、見事虹色チャレンジ大成功。綺麗にグラデーションされた客席に思わず「すごい…」と息が漏れました。もはやどこでも成功させられるんじゃないか…?幕張で成功させたら本当にすごいぞ…?(客席からは見えにくいけど…)
(Photo by 上山陽介氏)
MC⑤
「この公演のために秋元先生が特別に書き下ろしてくれた曲があります」「みんなで一緒に歌ってくれたらうれしいです!」とまさかすぎるサプライズ。
M20.日向坂 (新曲)
この曲は日向坂46にとっての「乃木坂の詩」…とは微妙に違うと思って、自分たちの歩みを振り返りながら、これから新たな道に進んでいくための"誓い"や"宣言"のような、そんな曲でした。
「漢字を書くかっこよさに憧れたけど ないものねだりだと気付いた ありのまま普通にやればいいんだ」という歌詞ぐらいしか覚えてないですが、「イマニミテイロ」にしてもそうですけど、けやき坂46という物語の随所にこういう曲を持ってくる秋元P、やってくれるぜって感じです。ただ、本当にうろ覚えなんで思いつかないんですけど、ちょいちょい引っかかってしまう歌詞があって、素直に感動し損ねた部分はあった気がします…。
この曲で天井から白い風船がたくさん降ってくる光景は、まるで空から雲がちぎれて落ちてくるようでした。
そしてライブはアンコールへ。
MC⑥
「日向坂!」「フォーティーシックス!」のアンコールに応え、カウントダウンライブTシャツに着替えて再登場してくれました。グッズ紹介。河田陽菜ちゃんがマフラータオルをマフラーのように巻いてグッズをアピール。松田好花ちゃんがTシャツの裏にはじめて自分たちの名前が入っていることに感激してました。
このときのMCだったかは思い出せないんですが、久美キャプテンが真面目な話をしているときに井口の顔(素)がカメラに抜かれて会場に笑いが巻き起こるハプニングがありました笑 「モニター?」と誰かが察すると「モニター見てると怒られるから見ないようにしてるの!」と弁明する井口。
再びキャプテンが話し始めると、なんとか修正(?)しようと目をパチクリさせながら耐えていたせいで逆にもっと変な顔になってしまった井口が再度抜かれてて、再び笑いが巻き起こりました。「もう〜笑わないでくださいよ〜〜笑」と呆れるキャプテン。罪はないのに申し訳なさそうな井口がウケました。
「もう一度、あの曲をやりたいんですけど、いいですか!?」「せーの、『キュン』!!」
EN1.キュン
一日2キュン。2キュン目も大いに盛り上がれるほどこの曲にはパワーがあります。どこかは忘れましたが、菜緒ちゃんのウィンクがめちゃくちゃドキッとしたのと、ラスサビの「きっと言ってみたってピンとこないさ」の「ピン」で小指が頭の上でピン!となる振付がいいなと思いました。
この曲って、キュンする前の男子の不穏な心情を表すかのように、AメロBメロのオケが決して明るくはないのが、一気に明るくなるサビの開放感をよりいっそう際立ててますよね。音楽的に説明できないですけど。
欅坂46もそうですが、カウンターとしてのアイドルが隆盛である昨今、記念すべきデビューシングルで、王道よりも王道な、アイドルに振り切ったこの曲で勝負を懸けてくる意味、日向坂46が持つグループのパワーならそれでも勝負できるという自信の表れなのかなと思います。
EN2.NO WAR in the future
やはりこの曲をやってくれないと成仏できない。説明不要のブチ上げソング。スクリーンには世界地図の映像も。
EN3.約束の卵
涙あり笑いありのライブも本当の本当にラスト。ペンライトを一心不乱に振りました。「待っててくれるか? 夢叶うまで 君のことを連れていく」という歌詞が妙に胸に響きます。気付いたら応援していて、気付いたらここまで連れてこられた。日向坂46の未来が待ち遠しいです。
こうして、唯一無二のデビューカウントダウンライブは大団円のまま幕を下ろしました。
日向坂46『デビューカウントダウンライブ!!』
2019年3月5日 セットリスト
【けやき坂46 LAST LIVE】
VTR① (ひらがなけやき結成)
Overture (けやき坂46)
M1.ひらがなけやき
MC①
M2.誰よりも高く跳べ!
VTR② (ひらがなけやきの不遇時代)
M3.僕たちは付き合っている
MC②
M4.永遠の白線
VTR③ (長濱ねる漢字専任)
M5.それでも歩いてる
VTR④ (2期生加入)
ダンストラック
M7.イマニミテイロ
VTR⑤ (単独アルバム発売決定、人気拡大)
M8.ひらがなで恋したい
M9.半分の記憶
M10.期待していない自分
M11.ハッピーオーラ
VTR⑥ (シングルデビュー、そして改名)
【日向坂46 FIRST LIVE】
Overture (日向坂46)
M12.キュン (新曲)
MC③
M13.ときめき草 (新曲)
M14.耳に落ちる涙 (新曲)
M15.沈黙が愛なら (新曲)
M16.Footsteps (新曲)
MC④
M17.君に話しておきたいこと
M18.抱きしめてやる
M19.JOYFUL LOVE
MC⑤
M20.日向坂 (新曲)
- アンコール -
MC⑥
EN1.キュン (2回目)
EN2.NO WAR in the future
EN3.約束の卵
前半「けやき坂46 LAST LIVE」はドキュメンタリーに徹していて、曲が終わるやいなやVTRが挿入されるので、盛り上がり続けるというよりはじっくりとひらがなけやきの歴史とその終わりを噛みしめている、という感覚でした。
そこからの後半「日向坂46 FIRST LIVE」はポップな新曲群が次々と打ち出されるので従来のひらがなけやきのライブ同様、休む間もなく盛り上がっているムードでした。
「ひらがなけやき」で始まり「日向坂」で終わるライブ本編、ライブそのものがストーリーとなっている演出、"ひらがなけやき"の歴史を辿りながら"ひらがなけやき"にけじめをつけて、"日向坂46"として心置きなくスタートを切る構成、新規も古参も平等に満足できる、こんな劇的でエモーショナルなライブは他の誰にも絶対にできないなと思います。
歴史の区切り、歴史の始まり、その瞬間に立ち会えたのは強運としか言いようがなく、引きあわせてくれた厳正なる抽選の神には頭が上がりません。今度飯でも奢るね。
最後のMCで、佐々木久美キャプテンが話していたことを思いだしました。
「空色って、一般的には青とか水色だと思うんですけど、実際には時間帯によっていろんな色に変わったりします」「私たちも、そんな風にいろんな色に染まれるグループになっていきたい」
自分たちの色っていったいなんだろう、と常に探し求めていたグループ。
"空色"という新しいチームカラーを賜って、導き出したその考え方は素敵だなと思います。
町をやさしく包み込む黒色も、
恵みの雨をもたらす灰色も、
人の別れに寄り添う茜色も、
溢れるほどの笑顔を映し出す青色も、
すべて実は"空色"で、日向坂はどんな色にもなれる気がします。
次はどんな色になろう?それを探す日向坂もまた輝いています。そんな日向坂46をこれからも応援していきたいです。
2018年は、齊藤京子の予言通りひらがなけやきの一年でした。
2019年は日向坂46の一年になる、そんな予感をさせるライブだったと思います。
日々全身全霊を賭して悲願のデビューを勝ち取った彼女たち。次は僕らをどこまで連れて行ってくれるんだろう?という期待で胸がいっぱいです。
「ひらがなけやき」という名前はこれで区切りになりますが、終わりではない、と僕は勝手に思っています。「ひらがなけやき」は形を変えながら、色を変えながら、これからも続いていく、そんな気がします。
僕らはそれを新たに「日向坂46」と呼ぶことにしたい──そう言わせてください。
長々と長文をお読みいただきありがとうございました。犬でした。
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最後に、
先日、欅坂46の長濱ねるが卒業を発表されました。
ひらがなけやきの原始。すべては彼女から始まりました。
活動期間は3年半。まだ20歳。早すぎるようにも感じます。
けれども、五島列島というのどかな地で育ち、アイドルに憧れ、特例で加入し、ひらがなけやきとしてスタートし、兼任で多忙すぎる日々を送り、選んで逆風に立ち向かってきた彼女。
時に謂れのない中傷を受け、望まぬ逆風にも耐えながらも欅とけやきを守り続けてきた彼女。
そんな彼女が過ごした3年半は、ただの3年半でなく、計り知れないほど摩耗し疲弊してきた3年半だったと思います。
グループとして、彼女を失うということはあまりにも大きな痛手かと思われます。正直、いまだに実感がなく、割り切れないです。けれども、彼女がグループに残してくれた功績や遺産はとてつもなく大きく、事実、彼女が作ってくれたひらがなけやきは、これから新しい名前で新しい空に大きく羽ばたこうとしている。日向坂46には、確かに長濱ねるの血が流れています。
そんなひらがなけやきの、日向坂46の晴れ晴れしい出発を見届けて、まるでひとつの役目を果たしたかのように、彼女は欅坂46からの卒業を発表しました。それは彼女なりの親心なのでしょう。
敷かれたレールの上を歩む人生を拒み、自ら選んだ選択肢がアイドルという職業。そして今、彼女は大好きなグループを離れてまで、また自ら選んだ道を歩む決心を固めたわけです。理由こそは現時点でわかりませんが、何であれ陰ながら応援していけたらなと思います。
卒業後は、またどこか違う町で、違う風に吹かれながら、自分のための時間を噛みしめながら、空の向こうで輝き続ける仲間のことを時々思い遣ってくれたら嬉しいです。
末筆ながら、井口眞緒の素敵な台詞をお借りして、心より感謝申し上げたいと思います。
「ひらがなけやきを作ってくれてありがとう」